果物の王様フィリピンはミンダナオ。 そこは果物王国。 いろいろな果物が勢ぞろい。 俺はフィリピン在住中に、いろいろな果物と出会った。 その中でも、最もインパクトがあり。 そして、俺のハートをがっちり掴んで離さなかった果物がいる。 そう、それは王様、ドリアンだ。 日本人にもその名は知られている、王様ドリアン。 でもあまりその味までは知られていないんじゃないだろうか。 王様が有名になったゆえんのひとつに、その体臭のきつさにある。 特に、日本に輸入されてきている王様たちは、体臭がひどい。 それは体臭というよりも腐敗臭に近いんだ。 だからといって、王国でも王様の体臭は評判だ。 何しろ飛行機に乗るとき、必ずチェックされちゃうからね。 王たるだけあって、一般受けはしないのかもしれない。 一般市民のバナナやマンゴーたちとは、ちょいと風格が違う。 そのボディは、強力なとげとげのアーマーで覆われており。 たぶん直撃したら、かなりの打撃を受ける事であろう。 ↑ 王さまの山盛り。じいちゃんの家で。 こんな風景が見れるのは、ミンダナオだけ! ミンダナオの南部に、そんな王様を並べて売るところが存在する。 ミンダナオ最大の都市、ダバオだ。 そこでは、ドリアンスタンドといわれる、露天が軒を連ねている。 そうそこは王様をその場で食べさせてくれる、なんとも粋なスタンドだ。 このスタンドの店主たちは、ミンダナオという土地柄だけあって、結構な荒くれ者どもが経営している。 何しろ、暇になるととげとげの鎧で覆われた王様を投げ合って遊んでいるんだから。 しかしながら、フィリピンというお国柄だけあって、彼らは陽気だ。 そして、愉快で親切だ。 その場で食べさせてくれるだけあって、中身があまり良くないものにあたってしまったときなど、違うのを割ってくれる。 写真は、そんなドリアン売りのおっちゃんらと。 よろいに身を包んだ王様を手渡される筆者。 (なんか最近、もう堂々と顔出ししちゃってますね、俺。) うしろには王様たちがぶら下がって客を待っている。 ダバオへ行くたびに、必ず俺はこのドリアンスタンドに出かけたものだ。 おっちゃんたちとはもう顔なじみ。 後方でピースをしているじじいは、刺青までしているにもかかわらず。 俺と並んで写真を取っているおっちゃんに、サル呼ばわりされている。 しかし、粋なじじいはそんな事では怒ったりしない。 フィリピン人は、とってもおおらかで、些細な事では決して怒らず。 陽気に暮らす人間なんだ。 さて王様のお味はというと。 その凶暴たる風貌ときつい体臭とは裏腹に。 なんともくりぃみぃで、深い味わい。 ミンダナオ取れたてといえど、王様の体臭はそれなりにきつい。 だが、そのくりぃみぃな味わいは、王様の体臭なんか全く気にさせなくなるくらいなんだ。 そして王様だけあって、かなりカロリーが高そうなお味だ。 以前、お昼に腹いっぱいドリアンを食べた事があったけど、その日は夕飯食えなかったっけかな。 王様の寿命(賞味期限)はとっても短い。 たぶん収穫されてから1~2日であろう。 だから、日本に来られた時点で王様たちは既にご臨終。 来日されている王様が腐敗臭を放っていてもなんら不思議ではないのだ。 王様も果物の一種であるため、木になるのであるが。 決して他の一般大衆フルーツどもとは違って、人間にもぎ取られる事はない。 ↑ 樹に実る若き日の王たち。 王様がまだ木にくっついているときに収穫しても決して食べれるものではないのだ。 王様は、食べ頃となった時に、自ずから実をその木から解き放ち。 人間に収穫されるのだ。 なんて誇り高き果物。 王を名乗っているゆえんであろう。 そして王様はその残りかすまでもが大事に扱われる。 ドリアンスタンドで食べ終わったあと、その食べ残しや種は全て回収され。 味が良くなく食べれなかった王様たちは、キャンディなどの加工食品に。 種は、新たな王様たちをはぐくむために、植えて育てられる。 さすが、王様。 キング・オブ・フルーツだ。 王様、また食べたいなぁ。 |